市場めし・港めしの最近のブログ記事

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夏休みだ。
午前8時前、築地市場駅からえんえん続く人並みに、ここはやはり東京随一の観光地であるのだな、と思い知る。
外国の方、明らかに地方から上京してきた方々が市場内を右往左往している。
空は厚い雲に覆われているのに、うっすらとした日差しが落ちてきて、体感温度は軽く35度を超えている。
地上に出たとたん汗が吹き出してくる。
本当に腹の辺りから、汗が「ズビズバー」とポロシャツに黒い地図ができる。
うだるような暑さなのに、観光ガイドにのっているような店の前には行列行列。
そんなごった返す場内で、ボクは常日頃と変わらない店を探す。

さて、店に入る前に、ここで築地に来る人に忠告。
「海鮮丼」というやつ、せっかく築地まできたんだったら、食べることはないんじゃないのかな。
生だったり、天然物だったりすると、丼の上をちょっと賑やかにするだけで、軽く3千円以上にはなる。
3千円以上でもそんなに儲けがない。
「海鮮丼千五百円やすーい」
こんなバカなことで感心して行列に並ぶ人よ、それは築地じゃなければ、もっと安く食べられる代物なのだよ。
築地に来たら海鮮丼だけはやめたほうがいいよ!

目差すのは「やじ満」。
ここで冷やし中華にするのだ、と門前仲町で乗り換えるときから決めていたのだ。
裏側から、ボクの体形をしてやっとすり抜けたら、そこは六割方しか席がうまっていない。
しかも総て常連さんらしき、だ。

「冷やし中華」
「はい、冷やし中華、これで計3つだよ」
席に座ると、冷たーい水がすっと出てくる。
ここ「やじ満」の冷やし中華は、甘酸っぱいたれのかかった昔ながらのものだ。
卵焼き、焼豚、キュウリ、紅ショウガという"お決まりの具"がこれまたよろしおますな。
このところ、よくよく思うのだけれど、食べ物に創意工夫はいらない。
普通がいちばん。
だいたい普通に冷やし中華を作るのがいちばん難しい。
「やじ満」はそれをやっているのだ。

さて、この店に来たらジャンボ焼売たべなきゃ、ならない。
昔はそう思ったものだが、最近は隠忍自重。
堪え難きを耐え、忍び難きを忍んで我慢している。

お隣では熱々大盛りのマーボラーメンと格闘中の、明らかにボクより年上の市場人がいる。
その勇気に拍手喝采。
しかしその吹き出す汗が飛び散る飛び散る。
また、今回初めて「ホワイトラーメン」という言葉を聞いた。
この店に初めて入って以来四半世紀になる。
だいたい数ヶ月に一度しかこないのだから、ときどきこんな発見がある。
「ホワイトラーメン」というのは鶏ガラ塩味スープのラーメンのことらしい。

さて甘酸っぱい、冷やし中華に、大量にからしを溶き込み。
コホンコホンとむせながら、ほんの5分ほどで平らげる。
今日の場内、どんなもんがあるんだろう。

築地めしに関しての懇切な案内は、つきじろうさんの「春は築地で朝ごはん」へ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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 築地で大食いすることを「つきじろうする」と書くようになって久しい。
 今回は案内も、つきじろうさんなので「tukijirou tukijirou」と新種登録したいような築地飯だ。

 さて話は3月21日にさかのぼる。
 島根一の大食いをほこるヤマトシジミさんが上京してきたので、一緒に「つきじろうする」べく、つきじろうさん本人の案内で『天房』に入る。
 当然、『天房』全品書きを踏破した、つきじろうさんおすすめに従い、シバエビと穴子の天丼(1200円)にした。
 シバエビの天ぷらは我が家の定番料理のひとつだ。
 へたなブラックタイガーよりも、段違いにうまい。

「では、私はマグロ定食(1000円)にします」
 このあたりが、つきじろうさんの曲を好む性だろうが、「素人は天ぷら屋で天ぷらものを、私玄人はこれなのよ」といった具合かもしれない?
 なんだかイヤな予感がする。
 で、大丈夫かと思った天丼にまずは感激。
 見事と言うしかない。
 丼汁のかけ具合、当たり前だけど、天ぷらの美しさ。
 外見上は素晴らしいとしかいいようがない。

 そして、そして「私食べてもうまいのよ」なんて天丼が誘いをかけてくる。
 やっぱり味も猛烈いい(そう言えば“猛烈”という言葉が好きなのは現40代以上なんだな。理由は教えてあげないけど)。
 なによりシバエビのさくっと揚がって、香ばしく、しかもエビの風味の高いこと。
 シバエビだって、マアナゴだって、「うますぎてうますぎて困る」。
 これをこれから「UUK」と書きたいほどに感激する。
 『天房』の天ぷらは「UUK」だ!

 ただ待て暫し。
 なぜ、こんなに天ぷらがうまいのに、つきじろうさんはマグロなのか?
 これには深いワケがあるに違いない。
 そしてマグロ定食が来て、やっぱりこっちも「UUK」に違いないと確信の確信をする。
 ここで、つきじろうさんの策略にはまってしまったことに気がついた。
 つきじろうさんが考える『天房』のベストはマグロ定食に別注文の天ぷら数種を合わせる、複雑で深謀遠慮な組み合わせではないか?
 ようするに「初っぱなからベストを望むのはダメなのよ」と目が語っている。

 つきじろうさんにとって『天房』のマグロ定食など空腹時に木村屋のあんぱんを食ったほどにも感じないだろう。
 当然、つきじろうさんは、平凡な大食いである我々を見捨てて、『ふぢの』で味噌ラーメンとシュウマイ(木村屋のあんぱん二個目)かなんか食べる。
 途中センリ軒のコーヒーでも挟んで、またきっと『天房』にもどり、こんどは天ぷらお好み、ご飯、みそ汁(木村屋のあんぱん三個目)を食べる。
 ボクはこれを「つきじろうのブーメラン食い」と呼びたい。
 そしてたぶん当日のつきじろうさんの朝ご飯は100パーセントこの筋で間違いないはずだ。

 だれも信じないだろうけど、ボクの推理力は金田一耕助以上だからね。
 このとき、今度築地に来たら、絶対に「マグロ定食に別注文の天ぷら数種を合わせ」を食ってやるとかたく誓ったのだ。

春は築地で朝ごはん
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 八王子には市場が3つある。
 この3つとも個性豊かで、食に興味がある人間で多摩地区にいてこの3市場を知らないだけで、その人は食に本当は無関心なんだ、味オンチのコンコンチキだと決めつけてもいい。そんな優れた市場だ。
 その市場にうまいものあり。
 『市場寿司 たか』のすし、『光陽』のモツ煮込み定食、『さくら』の麺類に中華料理。
 ここで困った存在なのが『さくら』である。

 ここ『さくらは』は一種気持ち悪いくらいに仲のいい夫婦二人きりの店。
 この店の名物が見えてこない。
 「海藻麺」うまい。
 「豚丼」うますぎる。
 「モツ煮込み」はまる。
 「カキそば」食べたそばからまた食べたくなる。
 「肉野菜炒め」、ボクが今すぐにでも食べたいと妄想している。

 さてさて、名物が見えてこない店なんだけど、やっと真の名物を見つけたのだ、それが「市場人限定定食!」。
 なんだかドラえもんになった気分。
 これで総て解決なのだ。
 要するに深い深い落とし穴に落ちて抜け出す方法が見えた時のようだ。

 今回の「市場人限定定食」がミックスフライ。
 これでカクカクジロウなんぞ、3杯飯を食らう。
 いつも不機嫌なタヌキオヤジなんて「ソースもっともっと」なんて言いながらもだえ苦しむのだ。
 ボクだけは冷静だ。
 たんたんと定食を食べ尽くす。
 ほんの30分前に朝ご飯を食べているのにも関わらずに。
 これで800円だけど、高いと思う人は少ないだろうね。
 
八王子市場案内
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 築地歩きは疲れる。
 我が家を朝4時から6時過ぎに出て、帰宅するのがだいたい午後3時となる。
 なぜこうなるのかというと、最近の築地行が仕事がらみだからだ。
 今回など場内荷受け(大卸、都などがはいる)棟を3往復してしまった。
 なんだ「たかが」建物の中を歩いただけじゃないか、なんて思われるだろう。
 それが「たかが」なんてもんじゃないのである。
 例えば丸いバウムクーヘンを四分の一に切る。
 この四分の一バウムクーヘンが場内水産棟の形そっくりなのだ。
 当然、バウムクーヘンの中側の辺(通路)は短く、外側に行くほど長い。
 一番内側の通路でも長さ100メートルくらいあるんじゃないだろうか?
 外側だとゆうにその二倍はありそうだ。
 そして場内の建物と同心円の外側、通路を隔てて弓形に細長くあるのが荷受け棟だ。
 この棟は水産棟のいちばん外側の長さを越していてやっちゃ場にとどいている。
 ボクの目測では300メートルくらいなんじゃないだろうか?
 しかもまっすぐではない。
 曲がり角あり、階段ありで、時に行き止まりもある。

 疲れ果てて、行き倒れそうになると飛び込んでいるのが魚河岸横丁の『センリ軒』である。
 その昔、マグロの競りに通っていたことがあり、ときどき一休みしていたのだ。
 以来10年以上入っていない。
 そんなとき、つきじろうさんがカツサンドをおやつに買うのを見て、改めてこの店の存在を思い出す。
 ちなみに、つきじろうさんのおやつであるカツサンドだって、最近の小食娘なら持てあましそうな代物。

 『センリ軒』で疲れをとるために食べるのが「ジャムバタートースト」だ。
 これを発見したのは昨年の暮れである。
 「コーヒーとトーストください」とオバサンに声をかけたら、「ジャムいりません」と言われたのだ。
 『センリ軒』の表舞台(店の入り口近く)にいるオバサンがまことに優れた人で、お冷やを出す、お茶を出す(これはサービス)のタイミングがいい。
 また何によらずそつがない。

 『センリ軒』に来る常連客の注文がまことに難しい。
 「軽くトーストしてバターなし」とか「よく焼いて」とか、コーヒーだって角砂糖二個、三個、なし。
 だまって何も言わない人がいて、それは単に角砂糖抜きのコーヒーだったりする。
 ボクの場合は単に「コーヒーにバタートースト」だけだったのが、ジャムを上乗せしただけだけど、ちょっと常連さんになった気分となる。
 ちなみに小腹が空いていたらゆで卵を追加している。

 このたっぷりジャム、たっぷりバターのトーストがうまい。
 ウチで作れるだろうそんなもの、と言うなかれ。
 席に座る、すぐにコーヒーが来る。
 二三回コーヒーをすする頃に、ちゃんとトーストがやってくるのだ。
 間の大切さを痛感する瞬間とも言えよう。

 面白いのは『センリ軒』でトーストを食べると腹が空くのだ。
 つきじろうさんのように隣近所で大食いをやった後にカツサンドは無理だけど、『センリ軒』の後、なぜかラーメンなんかが食べたくなる。
 そう言えば土曜日、尻高鰤さんが、「みそラーメン食べない」とさそってくれたっけ。
「食べときゃよかったなー」

詳しくは「春は築地で朝ごはん」
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 島根県浜田市にある浜田漁港は国内でも有数の水揚げ港である。
 巻き網、底曳網、一本釣り、磯漁、刺し網など様々な漁があるし、その漁は西日本でも屈指のものだろう。
 そんなに大きな港なら、さぞやうまい飯屋があるのではないか? きっと誰もが思うに違いない。
 ところが残念ながら、「市場でごはん」という楽しみはたった一軒『MESAMASHI』だけしか望めない。

 JFしまね浜田支所前に、早朝にトラックが到着する。
 これが『MESAMASHI』の正体だ。
 なかから年齢不詳のお姉さんが出てきて、トラック後部の扉をばたりばたりと開ける。
 小さなテーブルやバケツなどを出した途端に、仲買さんやJFの職員さんがわっせわっせと駆けつけるのだ。
 なぜ駆けつけなければならないか? はトラックの前を見るとすぐにわかる。
 手前の机の上におでん、そしてトラックの手前側にお握りいろいろ、奥のトラックの荷台にあたる部分が厨房になっている。
 問題はこの手前にあるお握りとおでんだろう。
 早くしないと好みのおでんダネ、おにぎりがなくなってしまうのだ。
 さて中にいるのは、きりりとしたお姉さんであって、こっちが慌ただしく注文したりすると、「待ってくださいな」なんてピシャリとくる。
 この言い方がなんともほどよく、また有無を言わさぬものであるのがいい。

 さて、ほとんどの常連さんは、まずはうどんかそば、そしてお握り1個か2個。
 もの足りない若い衆はこれにおでんを2、3個といったところだ。
 ラーメン、チャンポンもあるが、いちばんの売れ筋はうどんに思える。
 慌ただしい市場での飯だから、うどんのなかにいきなりおにぎりを放り込み、そのまま麺と崩れたおにぎりをズルサラズルサラとかきこむのが浜田流。
 もしくはうどん、そばをとり、出来るまで、おでんを皿に入れる。
 つゆを少し入れて、そこにおにぎりを放り込んで食べている人も多し。
 どうやら浜田人は汁っぽいのが好きらしい。

 『MESAMASHI』の品書きのなかでボクが一押しなのが肉うどん450円だ。
 過去にラーメンを食べているが、もう10歳若ければ好きだろうな、という味であった。
 今回はなに食べようか?
 ちなみに浜田でそばを食べる気になれない。
 ボクは関ヶ原を超えると、うどんしか食べないことにしている。
 ましてや食堂の麺類となると、西日本でそばはいやだな。
 でも品書きの下段にあるチャンポン650円(実は700円)が目をとらえて離さないのだ。
 これは11月に北九州に行ったため。
 九州では本来ラーメンではなくチャンポンの大陸(世界的には島だけど)なのだと確信した。
 じゃあ山陰はどうなのだろう、チャンポンの大陸の九州からそんなに遠くはないのだ。
 それでむらむらと「チャンポンください」。
 脇で体重が100キロオーバーになってしまっているヤマトシジミさんまで「私も」なのだ。
 出来上がるまでにおでんの牛すじ、ごぼう天におにぎりひとつ。
 おにぎりはおでんの汁に少しだけ浸している。

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 この浜田流おでんおにぎり融合的食べ方がいい。
 だいたい『MESAMASHI』のおでんがうまいし、当然ながら汁だってうまい。
 そのおでん汁を毛細管現象によって適度に吸い取ったおにぎりが、不思議なんだけど魅力的な味になっている。
 やっとチャンポンがやってきた。

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 これは確かにチャンポンなのだけど、スープに豚骨の臭いがある。
 チャンポンの概念からは遠く、むしろタンメンに近いといったもの。
 勢いよく食べ終わったものの、ボクとしては『MESAMASHI』ではうどんに決めた方が最良の選択のようだ。
 さて、早朝から市場歩きして、これでも腹に隙間がある。
 おでんの鍋の蓋を開けて、厚揚げと卵を追加して、やっと人心地ついたのであった。

 腹の虫がをなだめて、いざ浜田魚商売マーケットでうまい魚でも買おうではないか!

2009年2月11日
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 築地場内で昔ながらの商売を、基本的なあり方をもっとも忠実に、ガンコに続けている店が年々減少しているように思う。
 なにしろ築地場内では定食で1000円前後もする。
 そこに奴でもつけると1500円なんてことになりかねない。
 いい魚を使っているとか、場内の管理費がかかるからとか、いろいろ理由はあるだろうけど、最近廉価となってきた“銀座でご飯”となんら変わらない。
 しかも、出てくるものがたっぷりして充実したものなのか? 上等か? というと、まったくその逆だ。
 しかも、しかもかなりまずい店が多々ある。
 この築地周辺の飯のまずさを、より強く感じたのは大阪の市場に行くことが多くなってからだ。
 木津のうどんや、鶴橋の「よあけ」など築地周辺の飲食店が束になってもかなわない。
 同じ都内でも学生街であるお茶の水に暮らしていると、食い物があまりに高額であるので驚愕すること屡々である。
 現在では、いちばん過酷な労働者である、しかも自由になる時間のほとんどない仲卸の店員にとって、もっとも遠い「めし屋」が築地場内食堂群となっている。

 さて築地で働く人にとって、もっとも素早くうまいものが食えるところはどこか? というと『中栄』とか『吉野家』なんじゃないだろうか?
 あえて一店舗に絞り込むと『吉野家』に違いない。
 どこにでもあるチェーン店、どこで食べても「あの味」でしょ?
 こう思うのも致し方ないのだけど、ボクが食べる限り、築地場内の『吉野家』、牛丼の味は他店舗と違うように思える。
 気のせいだろう? とは思うけど、食べるたびに、その安さ、早さ、店員の接客のよさ、に感激する。

 さて、『吉野家』をよく利用していたのは、かなり昔のことになる。
 週に2回、3回と立ち寄ったことも珍しくない。
 一度だけ、疲れて座席にどしんと座った途端「つゆだく、みそ汁ですか」と言われたことがある。
 この店の店員さんの記憶力のよいこと。
 さて、かなり通っていても、店員さんたちの使う「つゆだく」なんてことを訳知り顔に使う気になれない。
 なんだか気恥ずかしい。
 これは『豊ちゃん』でも『中栄』でも同じだ。
 ボクはいつでも「牛丼並つゆたっぷり、みそ汁」。

 さて、かれこれ10年以上吉野家に入っていない。
 久しぶりで食べる牛丼は、やはり築地に限るな、と思う。
 よそで食べるよりも明らかにうまい。
 
吉野家
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 昨年は慌ただしかった。
 今年はできるだけゆったりした一年でありますように。
 さて、今年の年越しそばは日本そばじゃなくて中華となる。
 八王子総合卸売センター『さくら』のワンタン麺。
 こののワンタン麺はそんじょそこいらにある代物ではない、恐るべしワンタンが主役を張っている正真正銘のワンタン麺。
 そのワンタンの具のうまさに、『さくら』ならではの濃厚なダブルスープ。
 我ながら『さくら』なくして市場生活が送れない身となっているのだから、年越しワンタン麺をついつい食ってしまうのも無理はない。
 しかし暮れのワンタン麺のなんとしみじみうまいことか。

 旨味充分のスープがじわじわと身体に浸透してくる。
 美しい女性に執拗に迫られているかのような快感に身も心も震える。
 ああ、そろそろ初競りの5日ではないか、明日も『さくら』で、新年だからエビそばといきますか。

八王子の市場に関しては
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 築地場外でももっとも目立つところにあり、いつも混んでいるのに倦厭している店がここ。
 立ち食い(椅子もある)なのに最低のかけでも450円。
 かるく天ぷらをのせると700円とか800円する。

 それでも最近の体調から、かなり空腹でも朝は麺類と言うことが多くなっている。
 しかも近くの長崎県漁連に立ち寄りたいので、思わずここでそばをすする。
 天ぷらをキスにして、熱いいっぱい。

 かけそばの場合、汁は濃厚でなければならない。
 関西風ではそばの、汁がらみの悪さから味気なくなる。
 通奏低音のような殷々とした旨味は厚削りのカツオ節。
 そこにさば節、ソウダ節などを混ぜて、かえしで味付けする。

 その醤油濃厚な汁のいっぱいが目の前にある。
 過去に何度も食べて、それほどではない、と思っていたのだが、意外にひとすすりしてうまいなと思う。
 ちなみに、今回の築地は仕事がらみなので、時間に余裕がある。
 初めてゆっくりとすすりこむ『まるよ』のそばなのかも知れない。
 とにかく汁がうまい。
 ちゃんとカツオ節の旨味が感じられるし、醤油・甘みに角がない。
 そばの香りも高く、いい味わいだ。

 立ち食いで、街のそば屋なみの値段だが、これだけうまいのなら赦せるだろう。
 ただし、ここでゆっくりそばを味わえる機会なんてそうそうあるわけがない。

くわしくは、つきじろうさんのブログで
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 市場になくてはならないものが、飯屋・食堂のたぐいだ。
 それはラーメンでもいいし、うどんでもいい。
 とにかく市場歩きは腹が減る。
 時として腹が空いて歩行困難になるほどだから気をつけなければならない。

 さて今回の市場歩きは宮崎県延岡市延岡魚市場。
 ここで豊富な魚貝類がみられて楽しかった。
 でも、それ以上によかったのが『はりまや』のうどんだ。

 『ミツイ水産』社長の伊東吉成さん、石井潤一郎さんに市場でご飯を食べたいのですけど、といって教えて頂いた店だ。
 延岡魚市場に食堂らしき建物はなく、挟んだ倉庫のような建物脇にバスが数台とまっている。
 なんだろうな? と考えるまでもなく道路際に紺色の「うどん」と書かれた幟が翻る。
 石井潤一郎さんの後をついてバスにたどり着くと、白いライトバンの後部ドアが跳ね上がって、そのなかが立派な「うどん屋の厨房」となっているのだ。
 その前に並ぶオニイサン、オヤジ達がちょっとむさ苦しいというか、ゴッツイ。
 気押されていたら、石井さんが「なににしましょう?」と聞いてくる。
 なんだかせかされている気がして、うどん(上にのせるのは)天ぷらと魚のフライ、おにぎり2個にする。
 焦っていないじゃないか、充分すぎるくらい頼んでいるじゃないか? と思われそうだけど、こんなときには目に付いたものは躊躇なく食べてみるに限る。

 石井さんが注文しようと左手をやや上げ加減にすると、
「ちょっと順番でやりますから」
 ライトバンの中から女性の声がする。

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 屈んで中を覗くと可愛らしいポニーテールの女性が、まるで小リスさんのようにテキパキとうどんを作っている。
 こんなきれいなお姉さんが作るんだから「うどんの味は保証つきだ」なんて思った。
 やっと落ち着いて品書きを見ると「ミックス大盛り」というのがあるではないか、そっちにすればよかったなんて激しい後悔の念が浮かんでくる。
 変更したいなと思ったけど、どうやら石井さんがご馳走してくれるらしく、大人しく遠慮したのだ。
 やっとうどんができた。
 うどんの置かれた台に「超激辛っす まじっすよ」と書かれた一味唐辛子がある。
 やけに大げさな、と思いながら一さじ放り込む。

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 さてバスに乗り込んで、ここが食堂となっている。
 ちょうど運転手の真後ろに宮崎交通「はりまや」の停車場の標識。
 窓側に板が渡してあって、そこではすでに厳つい宮崎の男達がさもうまそうにうどんをすすっていた。

 さて、空腹感は頂点に来ている。
 やっとありついた朝飯だ。
 朝日を浴びて、うどんをすする。

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 上にのっかるかき揚げはゲソと玉ねぎ、魚のフライが軽く揚がって香ばしい。
 青ネギに、なぜか竹輪の輪切り。
 出し加減塩分濃度のバランスがいい。
 つゆはどちらかというとあっさりしたもので、大阪風ではなく四国のに近い。
 ようするに何杯でも食えるタイプだ。
 残念なのはうどんが柔らかく腰がない上に、歯切れも悪い点だが、そんなことが些細に思えるほど全体の味わいはいい。
 さて、なにげに小さじ一杯いれた一味唐辛子だが、これが本当に辛かった。
 辛くて香り高い優れもの。

 どんぶりをお姉さんに返しながら、もういっぱい食べたいななんて欲望が沸きに沸いてきたが、大人しく次の市場を目差すのだ。

延岡魚市場 宮崎県延岡市昭和町2の56
ミツイ水産
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