市場めし・港めしの最近のブログ記事

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ほぼ47都道府県総ての市場を歩き見てきた。そしてその全部で市場飯を食った。海辺の市場でなぜだかカレーとか、おでんとか、水産が中心の市場でも市場飯に魚貝類とは限らない。

そして海なしの岐阜県では、なにを食えばいいのか。中心にある巨大な市場棟をくぐりくぐり、その両翼にある食堂を数軒見て回ったが、決め手が見つからない。


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仲卸の美しいお姉さんに聞くと、「そりゃ、やっこ食堂のカツ丼しかない」と言う。この言葉だけを頼りに水産棟から離れ小島になっている食堂2軒が並ぶ、味気ない建物にたどり着く。

中から中華鍋を振る音がする。ありゃ、ありゃ、これはもしかして中華の店だろうか。朝から中華もないだろうと、もう一軒に行ったら、こちらもよくわからない店だった。

 

ということで、初志貫徹して『やっこ食堂』で「中華風カツ丼」をお願いする。出てきました、それがすごいの、なんのって、ごつすぎる代物だった。脇にあるスープとちょいサラダがやけに小さく見える。

大振りの皿の上にあったかいご飯、揚げたてのカツ、そしてその上から天津飯用にしては卵少なめのどろりとしたあんがのる。

圧倒されながらもすくい取って食べると、これが実にうまい、があまりにもボリューミーなのである。とんかつもさくっと揚がって、いい味。残そうとして残せない、それほどに魅力がある。後数年で朝からこんなものは無理になるだろうという、秋風を感じる年頃になったボクとしては今飽食するしかない。覚悟を決めて一気食い。

ごちそうさまでした、なのだ!

 

岐阜市中央卸売市場

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先週土曜日に築地に行った。疲れていたので、そのまま場内に入るのは危険。しかも前日夜は食事的なものを食べていない。むしやしないに、センリ軒に入る。ここでほっと一息つくという目的もある。


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とりあえず、コーヒーとプリン、そしてジャムとバター両方のトースト。もう少しいちごジャム欲しかったかも。

最後に緑茶をごくりごくり。お代わりして、いざ場内へ。

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競り場に並んだお魚を、『海鮮処 群青』の方が抜き取り、すぐに水洗い。下ごしらえをして店舗まで持ち込む。それがあっという間に出てくる。その醍醐味がうれしい「刺身定食」(1000円)である。

この日の魚は甲楽城(かぶらぎ)漁港ハマチ(ブリの若魚。もちろん天然)、糠漁港のサワラ、越前漁港のスズキ、鷹巣漁港のマイカ(ケンサキイカ)。これまさしく競り場に並んでいた魚ばかりで、旅人の心躍らせるに十二分の内容である。そこにバレン(バショウカジキ)のフライ、小イカの煮つけ、小鉢にみそ汁がズラリなのである。

この刺身の新鮮さ、うまさは名状しがたい。フライがついているのに、デブの本能でやたらにうれしくなる

まごうことなき、市場飯のサミットである。

 

福井市中央卸売市場

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 築地通いも長いが、バブル崩壊後くらいからだろうか、増えているものに海鮮丼というのがある。門跡通りなどに並んでいる看板を見ていると、ほとんどが冷凍物を解凍したもの。これは日本全国の共通事項。海鮮丼ほどいかがわしいものはないなんて思っている。

 それが、福井県中央卸売市場関連棟『海鮮処 群青』にもあった。市場の方がすすめるくらいだから、けっしていかがわしいものではないと思うが、やはり海鮮丼は恐い。黒板には「本日のお刺身4種と、マグロ、ウニ、イクラ」とある。マグロ、ウニ、イクラは陸送もの、もしくは冷凍ものだろうが、地魚4種は魅力的だ。


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 お願いして出てきた海鮮丼(1300円)が華美でないのに一安心。ここにカナダのスポットエビなんかが入っていたら、たまらない。海鮮丼は素朴、飾り気がなくていいのだ、と思う。

 まずはご飯を掘り出して食べてみる。あれあれ、なんと白飯である。生ものを白飯と合わせるのは非常に難しい。魚が新しいので大丈夫だろう、とは思うものの、「白飯かー」と箸が伸びない。これを見ていた市場の方が、皿にしょうゆを満たしてくれた。このしょうゆをなめて白飯であることに大いに納得する。

 このしょうゆが福井県の海辺の町で作られている甘口なのだ。兵庫県家島の「富士大」など海辺の町で好まれているしょうゆは甘口が多い。この甘口のしょうゆが海鮮丼に合うのである。

 マイカ(ケンサキイカ)、スズキ、サワラ、ハマチがシコシコして実に新鮮、実にうまい。これを甘いしょうゆが白飯になじませて一体感を感じる。

 みそ汁には魚のあらが入ってうま味たっぷり。小鉢ものも丁寧に作られている。紅白なますを、「長寿なます」というらしいが、これも口直しにいい。

 さて、『群青』での食事はまだまだ続くのだが、本日はここまでにて。

 

福井市中央卸売市場

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 福井市大和田にある福井市中央卸売市場の敷地は広大。左右に青果と水産のある卸売場棟があり、それと平行に関連棟がある。この関連棟には5店舗の食堂があり、福井中央魚市さんなどの大卸の系列会社が運営する食堂『海鮮処 群青』がある。


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 食堂は、それぞれの味をきそっているようで、市場めしは盛りだくさんで楽しい。その食堂のなかでいちばん新しいのが『海鮮処 群青』だろう。

 店は新しく、テーブルやカウンターもピカピカである。店の方もとても親切丁寧。全体に清潔感があるのは市場らしからぬところだが、一般客にも大いに人気を博しそう。


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 さて、料理については追々、書いていくが、基本は水産棟に並んだ地物を、厳選して、すぐに下ろして、すぐに提供するという「市場めし」の理想型である。まあ、その新鮮であること、丹念な仕事ぶりなど特筆すべきこと多々だ。

 現在(2014年9月13日時点)の営業開始は9時半からだが、もっと早める予定だとのこと。


福井市中央卸売市場

http://www.fukui-market.jp/fmarket/index2.html

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 築地場内には仕事で、また魚を買いに月になんども行く。八王子の自宅から向かうので着くのは7時前後。場内の仲買の品物が揃うのもこの時間なので便利と言えば便利である。

 通路が狭くて、膨大な仲卸を見て歩くのはとても大変である。「えいや!」と、仲卸棟に飛び込む前に来るのが場内の『センリ軒』である。


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 ここでジャムトーストにコーヒー、プリンとコーヒー、カツサンドにハムきゅうサンドとか、スープとかお願いして空きっ腹をなだめる。低血糖で仲卸棟に入るのは危険である。

 細長い店には裏表どちらからでも入れるが、私好みは「裏側から」。すぐのカウンターにとりついてため息をひとつふたつ。笑顔が優しいマスターが右手にお兄ちゃんが左にいて、いつもお兄ちゃんが皿を拭いている。ときどき聞こえてくるスプーンのカランカランという音がいい。

 とりあえずはコーヒーをお願いして、プリンだけにするかどうかを決める。


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 コーヒーを飲んでいるとお茶が出てくるのがまたうれしいー! 古びた給湯器や角砂糖の赤い箱、ステンレスのクリーム入れが、おだやかな照明が、ぼくの心を温めてくれる気がする。


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 蛇足だが、元気なときに頼むのがカツサンドなのだけど、1人前だとなぜかしらもの足りない。まあそれほど味がいいということだろう。

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 会津地方唯一の公設市場『会津若松市公設地方卸売市場』はなかなか趣のあるいい市場であった。駐車場から見ると会津盆地を囲む山々が見える。雲が頭上を動いていく。東京よりも少しだけ涼しいようで、気持ちいい。

 水産棟、青果棟があってその真ん中にあるのが関連棟。関連棟にある店は少なく寂しい限りだが、食堂が2軒あるのがうれしい。いろいろ迷った末に店内が丸見えで明るい雰囲気の『丸雄食堂』にする。


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 夏だからだろうか、店は通路から丸見え。手前にテーブル席、奥にカウンターがあって、その奥に厨房がある。厨房にいる女将さん、オヤジさんが優しそうなので、入りやすい。

 定食に麺類に丼もの、ピラフやオムライスもある。カレーもあるじゃないか? 最近はこの食堂らしい品書きだけで感動してしまう。うれしくなる。

 初めての市場で、初めての市場飯なので「日替り定食」にする。

 ほどなく出てきたのはソースカツが主菜で笹かまぼこや小ナスの漬けもの、モロヘイヤかな、変わり豆腐にみそ汁。そうだ、ここで会津名物ソースかつ丼を食べてもよかったんだ、と思ったがもう遅い。

 とりあえず、みそ汁を手に取ると会津の郷土料理「こづゆ」に入っている豆麩が浮かんでいる。みその味わいが独特である。ひょっとしたら会津のみそなのかも知れない。ソースカツをかじりつつ食べるご飯がおいしい。小ナスの漬けものも美味しいな。


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 いい朝ご飯である。市場歩きのあとの空きっ腹がほどよく満たされて、疲れが和らぐ。店の方達の対応もよしで気持ちよく店を後にする。

 また来るからねー。

 

訪問は201489

会津若松市公設地方卸売市場

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夏休みだ。
午前8時前、築地市場駅からえんえん続く人並みに、ここはやはり東京随一の観光地であるのだな、と思い知る。
外国の方、明らかに地方から上京してきた方々が市場内を右往左往している。
空は厚い雲に覆われているのに、うっすらとした日差しが落ちてきて、体感温度は軽く35度を超えている。
地上に出たとたん汗が吹き出してくる。
本当に腹の辺りから、汗が「ズビズバー」とポロシャツに黒い地図ができる。
うだるような暑さなのに、観光ガイドにのっているような店の前には行列行列。
そんなごった返す場内で、ボクは常日頃と変わらない店を探す。

さて、店に入る前に、ここで築地に来る人に忠告。
「海鮮丼」というやつ、せっかく築地まできたんだったら、食べることはないんじゃないのかな。
生だったり、天然物だったりすると、丼の上をちょっと賑やかにするだけで、軽く3千円以上にはなる。
3千円以上でもそんなに儲けがない。
「海鮮丼千五百円やすーい」
こんなバカなことで感心して行列に並ぶ人よ、それは築地じゃなければ、もっと安く食べられる代物なのだよ。
築地に来たら海鮮丼だけはやめたほうがいいよ!

目差すのは「やじ満」。
ここで冷やし中華にするのだ、と門前仲町で乗り換えるときから決めていたのだ。
裏側から、ボクの体形をしてやっとすり抜けたら、そこは六割方しか席がうまっていない。
しかも総て常連さんらしき、だ。

「冷やし中華」
「はい、冷やし中華、これで計3つだよ」
席に座ると、冷たーい水がすっと出てくる。
ここ「やじ満」の冷やし中華は、甘酸っぱいたれのかかった昔ながらのものだ。
卵焼き、焼豚、キュウリ、紅ショウガという"お決まりの具"がこれまたよろしおますな。
このところ、よくよく思うのだけれど、食べ物に創意工夫はいらない。
普通がいちばん。
だいたい普通に冷やし中華を作るのがいちばん難しい。
「やじ満」はそれをやっているのだ。

さて、この店に来たらジャンボ焼売たべなきゃ、ならない。
昔はそう思ったものだが、最近は隠忍自重。
堪え難きを耐え、忍び難きを忍んで我慢している。

お隣では熱々大盛りのマーボラーメンと格闘中の、明らかにボクより年上の市場人がいる。
その勇気に拍手喝采。
しかしその吹き出す汗が飛び散る飛び散る。
また、今回初めて「ホワイトラーメン」という言葉を聞いた。
この店に初めて入って以来四半世紀になる。
だいたい数ヶ月に一度しかこないのだから、ときどきこんな発見がある。
「ホワイトラーメン」というのは鶏ガラ塩味スープのラーメンのことらしい。

さて甘酸っぱい、冷やし中華に、大量にからしを溶き込み。
コホンコホンとむせながら、ほんの5分ほどで平らげる。
今日の場内、どんなもんがあるんだろう。

築地めしに関しての懇切な案内は、つきじろうさんの「春は築地で朝ごはん」へ
http://tsukijigo.cocolog-nifty.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/index.html

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 築地で大食いすることを「つきじろうする」と書くようになって久しい。
 今回は案内も、つきじろうさんなので「tukijirou tukijirou」と新種登録したいような築地飯だ。

 さて話は3月21日にさかのぼる。
 島根一の大食いをほこるヤマトシジミさんが上京してきたので、一緒に「つきじろうする」べく、つきじろうさん本人の案内で『天房』に入る。
 当然、『天房』全品書きを踏破した、つきじろうさんおすすめに従い、シバエビと穴子の天丼(1200円)にした。
 シバエビの天ぷらは我が家の定番料理のひとつだ。
 へたなブラックタイガーよりも、段違いにうまい。

「では、私はマグロ定食(1000円)にします」
 このあたりが、つきじろうさんの曲を好む性だろうが、「素人は天ぷら屋で天ぷらものを、私玄人はこれなのよ」といった具合かもしれない?
 なんだかイヤな予感がする。
 で、大丈夫かと思った天丼にまずは感激。
 見事と言うしかない。
 丼汁のかけ具合、当たり前だけど、天ぷらの美しさ。
 外見上は素晴らしいとしかいいようがない。

 そして、そして「私食べてもうまいのよ」なんて天丼が誘いをかけてくる。
 やっぱり味も猛烈いい(そう言えば“猛烈”という言葉が好きなのは現40代以上なんだな。理由は教えてあげないけど)。
 なによりシバエビのさくっと揚がって、香ばしく、しかもエビの風味の高いこと。
 シバエビだって、マアナゴだって、「うますぎてうますぎて困る」。
 これをこれから「UUK」と書きたいほどに感激する。
 『天房』の天ぷらは「UUK」だ!

 ただ待て暫し。
 なぜ、こんなに天ぷらがうまいのに、つきじろうさんはマグロなのか?
 これには深いワケがあるに違いない。
 そしてマグロ定食が来て、やっぱりこっちも「UUK」に違いないと確信の確信をする。
 ここで、つきじろうさんの策略にはまってしまったことに気がついた。
 つきじろうさんが考える『天房』のベストはマグロ定食に別注文の天ぷら数種を合わせる、複雑で深謀遠慮な組み合わせではないか?
 ようするに「初っぱなからベストを望むのはダメなのよ」と目が語っている。

 つきじろうさんにとって『天房』のマグロ定食など空腹時に木村屋のあんぱんを食ったほどにも感じないだろう。
 当然、つきじろうさんは、平凡な大食いである我々を見捨てて、『ふぢの』で味噌ラーメンとシュウマイ(木村屋のあんぱん二個目)かなんか食べる。
 途中センリ軒のコーヒーでも挟んで、またきっと『天房』にもどり、こんどは天ぷらお好み、ご飯、みそ汁(木村屋のあんぱん三個目)を食べる。
 ボクはこれを「つきじろうのブーメラン食い」と呼びたい。
 そしてたぶん当日のつきじろうさんの朝ご飯は100パーセントこの筋で間違いないはずだ。

 だれも信じないだろうけど、ボクの推理力は金田一耕助以上だからね。
 このとき、今度築地に来たら、絶対に「マグロ定食に別注文の天ぷら数種を合わせ」を食ってやるとかたく誓ったのだ。

春は築地で朝ごはん
http://tsukijigo.cocolog-nifty.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/

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 八王子には市場が3つある。
 この3つとも個性豊かで、食に興味がある人間で多摩地区にいてこの3市場を知らないだけで、その人は食に本当は無関心なんだ、味オンチのコンコンチキだと決めつけてもいい。そんな優れた市場だ。
 その市場にうまいものあり。
 『市場寿司 たか』のすし、『光陽』のモツ煮込み定食、『さくら』の麺類に中華料理。
 ここで困った存在なのが『さくら』である。

 ここ『さくらは』は一種気持ち悪いくらいに仲のいい夫婦二人きりの店。
 この店の名物が見えてこない。
 「海藻麺」うまい。
 「豚丼」うますぎる。
 「モツ煮込み」はまる。
 「カキそば」食べたそばからまた食べたくなる。
 「肉野菜炒め」、ボクが今すぐにでも食べたいと妄想している。

 さてさて、名物が見えてこない店なんだけど、やっと真の名物を見つけたのだ、それが「市場人限定定食!」。
 なんだかドラえもんになった気分。
 これで総て解決なのだ。
 要するに深い深い落とし穴に落ちて抜け出す方法が見えた時のようだ。

 今回の「市場人限定定食」がミックスフライ。
 これでカクカクジロウなんぞ、3杯飯を食らう。
 いつも不機嫌なタヌキオヤジなんて「ソースもっともっと」なんて言いながらもだえ苦しむのだ。
 ボクだけは冷静だ。
 たんたんと定食を食べ尽くす。
 ほんの30分前に朝ご飯を食べているのにも関わらずに。
 これで800円だけど、高いと思う人は少ないだろうね。
 
八王子市場案内
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/

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