旦過市場に来た目的のひとつが「いわしのぬかみそだき」だ。
市場内の食堂に入って食べるのが最良の方法だろう。
でも本当にうまい「いわしのぬかみそだき」が食べられるんだろうか?
踏ん切りがつかないまま、市場を歩いていると、懐かしいケースの並んだお菓子屋さんが目に付いた。
ボクが子供の頃(1960年代)、お小遣い10円を持たされてお菓子を買い食いする。
その頃のお菓子の売り方というのが量り売りだったのだ。
「オバチャンこれ」とお願いすると計りに乗せて10円分か5円分を白い紙袋に入れてくれる。
そのままのガラスのケースがここにある。
このお菓子屋さんのお母さんがなんとも親切な方であった。
「このあたりに、ぬかみそだき食べさせてくれるところありません」ときくと、「たのんであげるから来なさい」と連れて行ってくれたのが『宇佐美』という店だった。
この店、[100年床ぬかみそだき]と書かれた看板が大仰なので敢えて通り過ぎたのだった、
でも出てきた女将さんもいたって親切、親しみやすく、「いいですよ」と、いわしのぬかみそだきを発泡トレイにのせて、割り箸までいただいた。
さて初めて食べる、“いわしのぬかみそだき”は思った以上にぬかみそが感じられないものだった。
醤油の甘辛い味付けで、確かにそこに糠の、ざらつきがあるものの酸味も糠味噌臭さもない。
むしろイワシの煮つけに濃くをつけたようなもの。
立ちん坊で“ぬかみそだき”を食べていてもつまらない。
振り向くと酒屋があって、どうやら立ち飲みができそうだ。
『宇佐美』の女将さんに、「これ持ったままあそこに入ってお酒飲んでもいいでしょうかね?」。
「いいんじゃないですか。聞いてあげましょうか」
聞いて頂いて、入っていったのが、『宇佐美』の通路反対側にある『赤壁酒店』。
奥が立ち飲みスペースになっており、ここでコップ酒で“いわしのぬかみそだき”を食べる。
まことに旦過市場の人は優しいね。
さて、北九州市小倉は、ぬかみそ漬け作りのさかんなところ。
ぬかみそのことを古くは「糂汰漬け(じんだづけ)」と呼んでいたようだ。
「糂汰」という言葉の歴史は「ぬかみそ」という言葉以上に古いものらしく、小倉の「ぬかみそ文化」の歴史はいやが上にも古いことがわかる。
ぬかみそで野菜などを煮た汁を「糂汰汁」、魚を煮て「糂汰だき」。
“いわしのぬかみそだき”は「いわしの糂汰だき」だということになる。
●詳しくは「ぬかみそ文化交流会」へ
さて、市場の旅は続くのである。
旦過市場を軽くもう一回り。
『大學堂』という不思議な空間を見つけた。
そこにはコタツがあり、女子大生が二人。
「今日は法律相談をやってます」
なかなか明るい。
ここは北九州市立大学が運営しているもので、大学と一般とのふれあいの場所として面白そうだ。
こんなところで北九州のことなど聞いてみたい気もするが、時間のない旅なので、慌ただしくモノレール旦過駅を目差す。
●旦過市場歩き終わり
北九州市にぎわいづくり懇話会
http://lets-city.jp/konwakai/index.html
旦過市場
http://www.tangaichiba.jp/
ぬかみそ文化交流会
http://blog.livedoor.jp/jindaoyaji/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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