昨年、フリーライターのエンテツ(遠藤哲夫)さんから『雲のうえ』の取材で北九州にいったことをお聞きした。
『雲のうえ』は最近話題のフリーマガジンで、初めて見たのが今はなき神保町書肆アクセスである。
地方自治体が出しているものなのに素晴らしい編集で、なにより文章がいい。
エンテツさんの特集が見たくて閉店する直前のアクセスで『雲のうえ 5号 めし大盛りにしとって』を手に入れた。
だからどうしても書肆アクセスの閉店と『雲のうえ』が重なってしまう。
さて、エンテツさんの文章を読み、ボクも北九州に行きたくなっていたのだ。
北九州市で浮かぶことといったら工業都市、鉄とコンクリートで無機質なものだった。
それが『雲のうえ』を読むことでがらりと変わる。
街歩きが好きで堪らないボクにとって、なんて魅力的な都市なんだろう。
まして北九州市には無数の市場が点在するという。
あれから一年以上が経っている。
時刻表を買い求めて、北九州小倉までたどり着く方法をいろいろ考える。
値段が安く、しかも早朝に到着する方法。
なにしろ前日の夜まで仕事なのだから、深夜バスで目差すのがいちばんいい。
ただ本当にバスの時刻までに仕事が終わるのかどうか、わからない上に値段を比較すると新幹線との差額が小さいのだ。
例えば徳島に帰郷するならバス利用とJRでは半額、空路だと3分の一しかしない。
ところが九州だと新幹線とは25パーセントの違いしかない。
最近の激務からすると深夜バスの10時間というのは無理としかいいようがない。
決まらないまま、火曜日は深夜まで仕事をした。
水曜日、早朝4時過ぎに我が家を出る。
新幹線博多行き6時の始発に飛び乗って一路西に。
新神戸を過ぎる頃から南の車窓から見える景色が霧に白くつつまれてくる。
関門トンネルはあっけなく、なんのアナウンスもなくくぐり抜けて、小倉側に出て海側を見るとこれまた霧で白い。
小倉駅到着が午前9時半。
駅から降るエスカレーター、急ぐ人は右側、すなわち東京と同じなのを確認して駅を南に出る。
駅から続くモノレールの線路(?)、向かって左側に大きなデパート、右にはごみごみした商店街があるようだ。
市役所を駅の地図で確認して、とにかく大体の見当で歩く。
賑やかな商店街、年末ジャンボ宝くじを売っていたので、記念に買う。
通りを抜けるとほどなく川に行き当たる。
ちょうどそこが橋のたもと。
井筒屋というデパート(?)の警備員の方に市役所の場所をたずねる。
「橋の向こうに、城が見えますでしょ、その隣にある黒いビル、あれが市役所です」
橋を渡ると不思議な形のビルがあって、今から噴水が始まるから川のそばにいないように、といったアナウンスが流れる。
何気なく対岸を見ると川縁で魚釣りをしている人が竿を立てている。
水面から魚が跳ね上がったのだけど、獲物はなんだろう。
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右手に小倉城。
小倉藩15万石の城なのでなかなか立派だが、実は1959年に復元されたもの。
藩主小笠原家というのは鎌倉時代以来の名家。
礼法「小笠原流」でも有名であるけれど、幕末の第二次長州征伐での惨めな負け戦の方が印象深い。
市役所、「にぎわいづくり企画課」をお尋ねし、同課の桑本さんに市内市場の情報をお聞きする。
しかも市場の地図、ほとんど在庫のない『雲のうえ 二 おーい、市場!』までわけて頂く。
北九州市役所ならびに桑本さんに感謝。
さて、晴天で雲一つない。
今日は市場をいくつ見て回れるのだろう。
北九州市にぎわいづくり懇話会
http://lets-city.jp/konwakai/index.html
旦過市場
http://www.tangaichiba.jp/