ほぼ47都道府県総ての市場を歩き見てきた。そしてその全部で市場飯を食った。海辺の市場でなぜだかカレーとか、おでんとか、水産が中心の市場でも市場飯に魚貝類とは限らない。
そして海なしの岐阜県では、なにを食えばいいのか。中心にある巨大な市場棟をくぐりくぐり、その両翼にある食堂を数軒見て回ったが、決め手が見つからない。
仲卸の美しいお姉さんに聞くと、「そりゃ、やっこ食堂のカツ丼しかない」と言う。この言葉だけを頼りに水産棟から離れ小島になっている食堂2軒が並ぶ、味気ない建物にたどり着く。
中から中華鍋を振る音がする。ありゃ、ありゃ、これはもしかして中華の店だろうか。朝から中華もないだろうと、もう一軒に行ったら、こちらもよくわからない店だった。
ということで、初志貫徹して『やっこ食堂』で「中華風カツ丼」をお願いする。出てきました、それがすごいの、なんのって、ごつすぎる代物だった。脇にあるスープとちょいサラダがやけに小さく見える。
大振りの皿の上にあったかいご飯、揚げたてのカツ、そしてその上から天津飯用にしては卵少なめのどろりとしたあんがのる。
圧倒されながらもすくい取って食べると、これが実にうまい、があまりにもボリューミーなのである。とんかつもさくっと揚がって、いい味。残そうとして残せない、それほどに魅力がある。後数年で朝からこんなものは無理になるだろうという、秋風を感じる年頃になったボクとしては今飽食するしかない。覚悟を決めて一気食い。
ごちそうさまでした、なのだ!
岐阜市中央卸売市場